遺言書を作成するときの注意点

遺言書は、さまざまなことに注意をしながら作成する必要があります。ここでは有効に遺言を作成するための注意事項についてご紹介したいと思います。

法律上禁止されている共同遺言

共同遺言とは、2人以上の人間が同一の証書(同一の遺言書)で遺言をすることをいいます(民法975条)。これは法律で禁止されています。遺言書を作成するときは、必ず一つの遺言書に1人の遺言のみを記載するようにしてください。

遺言をする上で必要な証人について

公正証書遺言や秘密証書遺言を行う場合、証人が2人以上必要です。では「証人」は具体的に誰に頼めばいいのでしょうか。

1.証人になるための資格

以下に該当する人物は遺言の証人になることができません(民法974条)。

  • 未成年者
    19歳未満の未成年者は証人になることが出来ません。20歳以上の人を選ぶ必要があります。
  • 利害関係人
    遺言者の推定相続人および受遺者は証人になれません。また推定相続人の配偶者および直系血族、受遺者の配偶者および直系血族も証人にはなれません。
    つまり相続で遺産を受け取る可能性のある人は証人になれないということです。
  • 公証人の配偶者、4親等内の親族、書記、使用人は証人になれません

2.証人はどうやって探したらいいの?

  1. 士業に依頼する
    最も安心なのは弁護士・司法書士・行政書士などの士業の先生に依頼することです。士業であれば職業上、守秘義務を負っているため、遺言内容を口外される心配もありません。日ごろからお世話になっている士業の先生がいるという方はその先生に頼むと安心であり、また証人を探す手間も省けます。
    士業の先生に依頼する場合は、事前に見積もりを頼んでおくと、必要な費用がどのくらいか把握しておくことができます。
  2. 友人や知人にお願いする
    遺言内容を知られてもかまわない人物で、遺言内容を口外しないような信頼できる人がいる場合は、友人や知人にお願いをするということもできます。
    その場合は必ず費用が必要というわけではありません。ただ、遺言の証人という重要な役目をお願いするわけですから、多少の謝礼をお渡しする方がよいともいえるでしょう。また上記でも触れたように利害関係人は証人になれませんから、推定相続人および受遺者ならびにこれらの配偶者および直系血族にあたらない人を選ぶ必要があります。
  3. 公証役場で紹介してもらう
    士業の先生や友人・知人などで証人を頼める人がいない場合、公証役場で証人を紹介してもらうことができます。各公証役場によって費用などが異なるので、事前に問い合わせておくと必要な金額の目途が立つでしょう。

3.公証役場で紹介してもらう

士業の先生や友人・知人などで証人を頼める人がいない場合、公証役場で証人を紹介してもらうことができます。各公証役場によって費用などが異なるので、事前に問い合わせておくと必要な金額の目途が立つでしょう。

自筆証書遺言の作成中、誤字脱字をした場合

遺言書の作成中に誤字脱字や書き損じをした場合、訂正や加除をすることもできますが、遺言書の訂正の仕方は細かく決められており、その方式を充たさなければその訂正や加除は無効になってしまいます。

誤字脱字や書き損じをした場合、何らかの書き直したい場合は、なるべく新しい遺言書を書き直すことをおすすめいたします。自筆証書遺言の場合、遺言書本文はすべて手書きで作成しなければなりませんから(※)、書き直しの手間などを考えると作業量が多くなることが予想されます。(※自筆証書遺言について、財産目録はパソコン等で作成することも出来ます。)

遺言書の作成は、じっくりと取り組める時間のあるとき、またなるべく元気なときにおこなうのが望ましいといえるでしょう。